小規模企業共済制度の共済金を分割で受領していた者に相続が発生した場合の共済金の課税について
1. 小規模企業共済とは
小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度といえるものです。
個人事業主または中小企業経営者が自らの退職金を準備するためや月々の掛け金が年間84万円まで所得控除ができるため、節税対策としても利用される方が少なくありません。
2. 契約者が共済金の受給中に亡くなった場合の相続税の取扱い
今回は、小規模企業共済制度の契約者が、共済金を生前に分割で受給している期間中に亡くなった場合の相続税の課税関係について考えてみましょう。
小規模企業共済法では、共済金の全部又は一部が分割払により支給されていた場合において共済契約者が死亡したときは、その相続人に対し、死亡時までに支給期月の到来していない分割共済金の額の現価に相当する金額の合計額を一括して支給するものと規定されています。
【 Q 】
被相続人の死亡により相続人が取得する退職手当金等については、『500万円× 法定相続人の数』の退職手当金等の非課税限度額の適用がありますが、相続人が一括で支給される分割共済金についても、退職手当金等の非課税限度額の適用はあるのでしょうか。
【 A 】
相続人が支給を受ける一時金は、分割共済金の受給中に受給者が亡くなったことにより、支給期月が到来していない分割共済金を一括で受け取ることなったものであり、受給者となった相続人が、その分割共済金についての契約をしているわけではなく、分割共済金を受給する権利を被相続人から引き継いだ形になります。
この分割共済金を受給する権利は、「契約に基づかない定期金に関する権利」として、相続人が相続又は遺贈により取得したものとみなされ、相続税が課税されます。
「契約に基づかない定期金に関する権利」は、退職手当金等に該当しないため、退職手当金等の非課税限度額の適用はありません。
具体的な課税の取り扱いは、個別のケースによって異なるため、専門家のアドバイスを受けながら、適切な手続きや申告を行うことをお勧めします。