相続税で用いられる平均余命と生命表の種類について
令和7年度の改正により、物納制度が見直され、それに伴って相続税法基本通達の一部が改正されました。改正内容としては、物納許可限度額を算定する際に必要となる「延納年数」の算定方法です。この延納年数は、納期限などにおける申請者の「平均余命」を基にし、その年数の上限が設定されることとなります。そして、その計算に使用される基準として「完全生命表」が採用されることになります。
生命表とは
生命表は、ある期間における死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の者が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値などを、死亡率や平均余命などの指標によって表した統計データです。これによって、例えば特定の年齢層が何年後に死亡する可能性が高いか、またその年齢層が平均してあと何年生きるのかといった死亡状況を厳密に分析する上で不可欠なものとなっています。日本における生命表は、厚生労働省が作成・公表しており、これらは統計法によって基
幹統計として位置づけられています(統計法第2④三)。
完全生命表と簡易生命表の違い
日本の生命表には、「完全生命表」と「簡易生命表」の2種類が存在し、それぞれ作成方法や使用されるデータに違いがあります。
完全生命表
完全生命表は、国勢調査に基づいた正確な人口データと、人口動態統計から得られた死亡数や出生数を基に5年ごとに作成されます。国勢調査年については、まず「簡易生命表」を作成し、国勢調査の結果(確定数)の公表後に「完全生命表」を作成するため、完全生命表は生命表の確定版という性格を持っています。相続税法における物納制度の延納年数の算定においては、この完全生命表が基準として使用されます。
簡易生命表
簡易生命表は、推計に基づく人口データと、概算で得られる人口動態統計(月報など)に基づいて毎年作成されます。この生命表は、計算方法が簡略化されていて公表時期が比較的早く、平均余命等の経時的変化を見るのに有用となります。簡易生命表は、短期的な人口変動をより敏感に反映するため、主に年次の分析や、より即効性を求められる場面で活用されます。
具体例と平均余命
例えば、85歳の男性に関する平均余命を見てみると、最新の完全生命表ではその男性の平均余命は6.59年となっています。これに対し、簡易生命表ではその数値が6.31年となっており、わずかながら異なっています。(令和7年8月1日現在)この差異は、完全生命表がより詳細な人口データに基づいている一方で、簡易生命表が推計に依存しているため生じるものです。













