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さいたま・つながる相続サポート
(友野会計事務所)

贈与に関する税制とその改正、これからの相続税対策

築き上げた資産は、長年の努力と計画の成果です。その大切な財産を次世代へ確実に引き継ぐためには、相続対策が欠かせません。相続税の法改正が繰り返される中、効果的な対策を講じることが、家族の財産を守るためにますます重要となっています。202411日から改正された贈与税制度である「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の違いについて確認していきます。

 

【暦年課税制度について】

毎年の贈与税額を計算していく制度です。(1参照)

【メリット】

毎年の贈与税控除:年間110万円までの贈与は非課税となるため、少額の贈与を毎年行うことで贈与額の負担を軽減できます。

柔軟性:贈与の金額やタイミングで自由に調整できるため、贈与者の経済状況に応じて贈与を計画的に行えます。

累進課税の活用:非課税枠を超えての贈与があっても贈与金額が少額であれば、低い税率が適用されます。

【デメリット】

累進的な税負担:非課税枠を超えて大きな金額を贈与する場合、その額に応じて高い税率が適用されるため、累進的な税負担が大きくなります。最大で55%もの税率がかかります。

受贈者の管理負担:毎年の贈与額の計算や税務申告が必要になり、手続きが煩雑になりがちです。

※〔2024年の税制改革でここが変わった!〕

死亡から一定期間の贈与に関して相続税の課税対象とするルールに変更がありました。20231231日以前は贈与から3年以内に死亡した場合には相続税の課税対象となっていましたが、それが7年に延長されています。202411日以降の贈与に関して、20301231日分までの贈与に関しては相続財産として課税されるということです。亡くなる4年から7年前の贈与については総額100万円分までは非課税ですが、2024年以降の贈与に関しては7年後まで相続税節税の効果は出ないようになりました。相続財産として計算されても既に支払いが終わっている贈与税があれば相続税から控除して納税することになるので二重課税にはなりません。

図1:法改正による暦年課税の相続税課税対象期間のイメージ (#1)

【相続時精算課税制度について】

毎年の贈与額を一定の税率で計算し、贈与者が亡くなったときに相続税で精算する制度です。(2参照)

ただし、贈与者は贈与をした年の11日において60歳以上の方で、受贈者は贈与した年の11日において、18歳以上かつ贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫に限定されます。

【メリット】

大口贈与が非課税:2,500万円までの贈与が非課税になるため、一度に大きな金額を贈与する際に有利に働きます。

贈与金額の早期確定:土地のように将来金額が動く可能性があるものに関して贈与時の価値で精算を行います。そのため将来において価値上昇が見込まれる資産において、資産価値が上がることによる相続税の上乗せを防ぐことができます。(資産価値が贈与の時よりも下がった場合は逆に損をすることになります。)

相続税との一体課税:贈与時に課される贈与税は、相続時に相続税として精算されるため、相続時の税負担が一度に計算され、解りやすいです。

相続対策として解りやすい:生前贈与を通して、相続財産の事前分割や資産の移転が容易になります。

【デメリット】

贈与税の固定税率:累計2,500万円を超えた財産の贈与に関しては一律20%の税率が適応されるため、少額の贈与には不利に働きます。

制度の選択制限:一度選択すると暦年課税制度に戻れないため、慎重な判断が必要となります。

複雑な手続き:贈与時に相続時精算課税選択届出書を提出していなければならず、そのための手続きや計算が複雑で、専門的な知識やサポートが必要になる場合があります。

※〔2024年の税制改革でここが変わった!〕

相続時精算課税制度に新たに「年110万円の基礎控除」が加わりました。年間110万円までの贈与に関して贈与税はかからず、相続財産に加算されません。年間基礎控除額である110万円を超えて贈与され、かつ累計で2,500万円を超過した財産に関して、相続税の課税価格に加算することになります。今までは毎年の基礎控除が無かったのでかなり利用しやすくなったと言えるでしょう。

図2:法改正による相続時精算課税の相続税課税対象期間のイメージ (#1)

【これからの相続税対策】

図3:暦年課税及び相続時精算課税の申告状況の推移 (#2)

令和5年の暦年課税及び相続時精算課税の申告状況の推移データを見ますと、贈与税申告を行った者のうち暦年課税選択者が461千人、相続時精算課税選択者が49千人と10倍近い差があります。相続時精算課税制度は例えば、①暦年課税の累進課税では高額な税負担が生じ、②資産を早期に移転したい意志があり、③贈与税を一度にまとめて支払うことができるような人が選択するので、これらにあてはまるケースが少ないのです。

今回の税制改革で相続時精算課税制度はかなり使いやすくなりました。財産の所有権を迅速に移動させることができ、相続対策として即効性が見込めます。令和6年度の選択者の増加に注目が集まります。

他方、暦年課税を利用しての贈与は以前にも増して計画的に贈与を進めなければならなくなりました。相続対策を行う方があと何年存命でいられるかは誰にも分かりません。相続対策を始めて7年間も効果が出ないとなるとかなり早期からの相続対策が必要となります。8年間毎年110万円の贈与を行い続けて、ようやく210万円分の相続課税額を節減できる計算になります。財産状況を踏まえてどちらの課税制度を選択するか、よく吟味しなければならなくなったと言えるでしょう。

今回の税制改革は二つの制度の差を埋める形で行われました。相続時精算課税制度を選択する人が増えると、相続を待たずに次世代に財産が移動するため、その分経済に貢献することが見込まれます。経済が活発化することで税収の上昇を見込むことができます。そういった国税庁の思惑が見え隠れする税制改革であったとも言えるでしょう。

毎年行える相続対策として、例えば孫に対する贈与があります。孫への贈与は代襲相続の場合を除き相続税の対象ではありません。従いまして暦年課税制度を選択したことによる7年間の相続税課税対象期間もないため、孫への贈与は有効な手段の一つです。形成している資産の構成によっても取るべき相続対策は変わってきますので、専門家に相談したうえで家族同士話し合い、早い段階で相続税対策を行うことが家族の財産を守るうえで重要なのです。

#1 国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改革のあらまし
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

#2 国税庁 「令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0024005-100.pdf

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