財産管理として近年注目される「家族信託」メリットは多いが税金が発生するケースも
財産管理として近年注目される「家族信託」メリットは多いが税金が発生するケースも
近年、新しい財産管理や相続対策の方法として「家族信託」が注目されています。家族信託とは、「自分の財産を信頼できる家族に託し、代わって管理してもらう制度」のことをいいます。
そのメリットとして、認知症になったときに財産管理をしてもらう認知症対策、相続のトラブルを防ぐ争族対策、遺言書や贈与では難しい柔軟な二次相続対策、判断力が低下したときの財産犯罪の防止策、事業承継対策への活用、などが挙げられます。
家族信託では委託者、受託者、受益者の3者が当事者となります。財産の所有者である委託者が遺言や信託契約によって受託者に財産の管理処分の権限を与え、最終的に受益者が財産からの収益を受け取れるようにする形が一般的です。また、委託者自身が受益者となることも問題なく、実際にはこの形が多いです。このようにメリットの多い家族信託ですが、一方で税金が発生するケースもあるので理解しておくことが大切です。
原則的な家族信託の形では、委託者・受託者・受益者の3者が当事者となりますが、この場合、委託者から受益者に対して財産の移転が行われたものとみなされ、贈与税が課せられることになります。贈与税は相続税と異なり非課税部分が少ないため家族信託の対象とする財産の金額が大きい場合には多額の贈与税が発生してしまう可能性があります。対策としては、委託者の生前は「委託者=受益者」としておくことが考えられます。
また、委託者の死亡によって受益者としての地位が相続された場合(あるいは、委託者の死亡を条件として信託契約の効果が生ずるとした場合)には、受益者に対して相続税が課税されます。家族信託は委託者の生前は贈与税の発生を避けるために「委託者=受益者」となっていることが多いのですが、委託者の死亡によって受益者がその親族などに変わった際には、その親族に対して相続税が発生することになります。